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Kids Com GenkiEnglish Special Interview - February 2001


「国際理解」のために
 日本を飛び回るふたりの元ALT
 〜Genki English スペシャル・インタビュー〜
(本誌2001年2月号掲載)

愛媛県でALTをしていたRichard GrahamさんとWill Jasprizzaさん。彼らは現在、Genki Englishとして日本全国の小学校でショーをしたり先生向けのセミナーを開いたりで大忙し。ほかにも、英語活動のアイディアが満載のウェブサイト「GenkiEnglish.com」の運営、先生の指導用ビデオや授業で使える音楽CDを制作するなど、ここ数年で彼らの活動の幅はどんどん広がってきています。そんな彼らがどうしてGenkiとしての活動を始めたのか、また、全国の小学校を回っているなかで見たこと感じたことなどを、いろいろと語ってくれました。


R = リチャード
W = ウィル

R&W1


語り尽くせないほどいろいろなことをALTとして体験した
まず初めに、ふたりがどのようにして知り合ったのか、教えてください。
R:
初めてウィルに会ったのは、1997年7月。JETプログラム(語学指導等を行う外国青年招致事業の略、以下JET)で日本に来て、最初に東京で行われたオリエンテーションのときだね。
W:
愛媛でJETをしていた3年間も、ふたりが住んでた町は3時間も離れてたけど、パーティやミーティングではよく顔を合わせてたよ。
R:
でも、協力してGenki Englishツアーを行うようになったのは、2001年になってからなんだ。

最初のお互いの印象は?
R:
典型的なオージー!
W:
まだ高校を卒業したばかりって感じ!

日本に来る前、リチャードさんは物理学の勉強、ウィルさんは弁護士をしてたんですよね。日本での生活、特に子どもたちの前に立って、どんなところでその経験が生かされたと思いますか。
W:
(少し考えて)弁護士は、法廷に出て大勢の人の前で議論をしなくちゃいけないから、神経をすり減らすような経験も多かったけど、大きな自信を得たのは確かだね。それに比べたら、日本人の先生にスピーチをしたり、1年生の教室で教えたりすることは、それほど怖いことじゃなかったよ。
 大学のロー・レビューで出演や監督をした経験もあったから、僕の授業はとてもおもしろいって、子どもたちもとても楽しみにしてくれてた。

R:
僕にとっては、フランスの大学で勉強したことが大きかったね。一度も海外経験がなかったら、日本に慣れるのにもっと時間がかかってたはずだよ。それに大学では、いつもプレゼンテーションをしてたし、物理学会では卒業プロジェクトの発表もした。音楽のコンサートもやってたりしたから、人前で演じるとか、恥をかくとかいうことには、まったく抵抗がなかったんだ。
 子どもたちを教えるってことは、まじめに考えてたら少し怖くなるかもね。でも、僕の頭は6歳児並みだから(笑)、「オーケー、自分がこのクラスの子どもだったら、何がしたいだろう」とだけ考えるようにしてるんだ。


JETを通じて得た、一番大きなものって何でしょうか?
R:
とても語り尽くせないほど、いろんなことを経験したよ。毎日、新しいことや思いがけないことが起こってたからね。強いていえば、NASAとのインターネット・プロジェクト、それから子どもたちが演奏、歌、制作までを担当したクリスマスCDかな。
W:
僕の場合は、日本語が話せるようになったおかげで、1億2,500万人と友達になれる可能性を得たってことが大きいかな。もうひとつは、(西宇和郡)三瓶町の人たちが僕のことを「あのALT」じゃなくて、教師、同僚、友人、そして同じ人間として見てくれるようになったことだね。JETの目的は「地域レベルの国際交流」だから、地域の人たちと友情を深めたことで、ひとりの人間としてこれを達成できたと思ってる。

新米の頃にたくさんのことを教わった
だから今度は僕が教えてあげる番なんだ

Genki Englishを始めようと思ったきっかけは何ですか?
R:
越智郡では、ALTのためのトレーニング・セミナーが数多く開かれてたんだ。おかげで日本に来てすぐ、ほかの人たちからたくさんのアイディアをもらうことができた。しばらくしてから、新しいALTや日本人の先生のトレーニングを頼まれるようになったんだ。
 ホームページを始めたのは2年前。ミーティングで配ろうと思った資料が多くなりすぎて、それをインターネット上で保管することにしたんだ。おかげで、それまでだったらすぐになくしてたような資料も、いつでも好きなときに読めるようになったし、ほかの先生たちも自由に使えるようになった。で、ほかの人たちもアイディアを使うならってことで、新しいアイディアはすべてウェブで公開するようにしたんだ。JETになりたての頃、ほかの人からいろんなアイディアを教えてもらったんだから、今度は僕が教えてあげる番だってね。

W:
僕は町で最初のALTだったから、小学校向けのプログラムも何もない状態から作らなくちゃならなかった。リチャードもそうだったんだけど、授業中にカタカナを一切書かないで、子どもたちに英語をたくさん話させるようにしてた。そして、あるときリチャードの歌を聞いて、「これだ」って思ったんだ。それにこのウェブサイトを使えば、僕が学校にいないときだって、子どもたちは英語の練習ができるしね。

もう少し、ウェブサイトについて詳しく教えてくれますか。
R:
このウェブサイトを始めた頃は、週1時間で1クラス30人っていう小学校で使えるような英語の教材はほとんどなかったから、それにあわせたカリキュラムやアイディアを独自に考える必要があったんだ。
 英語の歌も、歌詞とか見ればわかると思うけど、実生活じゃ使わないものばかりメTwinkle, twinkle, little starノモとか、日常会話じゃ使わないでしょう? だから自分で歌を作ることにしたんだ。レッスンごとに目標となる英語表現を設定してね。ウェブサイトで最初の曲を無料でダウンロードできるようにしたときの反響は、ものすごかったよ。でも「教室にはパソコンがないからCDが欲しい」という先生が結構いたから、CDを作ることにしたんだ。でも、今考えてみれば、それもたいへんな作業だったな。


どんな人がウェブサイトにアクセスしてきますか?
R:
毎日数千人がアクセスしてくるけど、その多くは先制打ね。半分は日本国内、半分は世界中からのアクセス。ウェブサイトには声が出るページもあるから、たくさんの先生が授業で活用してくれているみたいだね。
W:
「カワイイ」ものって、日本ではとても人気があるよね? Genki Englishのキャラクター、Mr. MonkeyとAygoだったら、日本の高校生も気に入ると思う。もちろん、ALTも気に入ってくれてる。
R:
それで「かわいいえいご」ページも始めようってことになったんだ。子どもが使うページだから、家庭で利用してる人も多い。シベリア、アルゼンチン、香港、アルゼンチンなんかからもEメールが来るんだ。ビックリだよね。

子どもたちの幸せそうな顔を見れるだけでも
「いい仕事をしたな」っていう気分になる

実際に、小学校でショーをやったり、先生向けのセミナーを開いたりしたときの、参加者の反応はどうでしたか?
R:
僕たちが部屋中をあんまり元気に動き回るもんだから、参加者はビックリしてたよ。Genki Englishという名前を意味もなく付けてるわけじゃないんだ。
W:
ゴキブリ・ゲームっていうのがあって、子どもたちと一緒に、僕たちもゴキブリとかサルなんかのふりをして教室を動きまわるんだけど、それを見ていた先生たちは本当に楽しいそうだった。こっちもうれしくなっちゃったね。
R:
子どもたちの力を、日本の先生はあまりよくわかってないんじゃないかな。45分のショーの間に英語をバンバン使うんだけど、みんな最初は「大丈夫なの?」って顔をする。でも最後には、「ああ、本当にできるんですね!」ってわかるんだ。
W:
セミナーの前、先生たちが、普通の講義が始まるみたいにまじめな顔で待っていることがあるんだけど、セミナーが始まった途端、みんなビックリした顔をするよ。Genki Englishセミナーに参加した人たちは、ゲームに歌に一緒に動き回らなくちゃいけないからね。でも、小学校の英語がどれだけ楽しくて効果的なのか、それを知るには一番の方法だよ。
R:
実はGenki Englishは真剣なんだって、みんな気づいてくれるしね。楽しく遊んでいるみたいに見えるけど、それぞれちゃんとした教育目的があるんだって。「楽しさ」っていうのは教え方のことで、楽しいだけのゲームとか、役に立たない歌詞の歌なんか、教育的価値はないと思う。まずは目的がなくちゃ。

ツアーでビックリしたことや、うれしかったことを教えてくれますか。
R:
そうだね……、ある校長先生が「うちの児童は世界のことなど知る必要はない。ここに外人はいらない」って言ったことかな。
W:
あるいは、「去年、アメリカ人の女の子がひとり訪ねてきたから、もう国際化は不要だ」って言った校長先生とかね。
R:
うれしかったのは、青森で200人以上の子どもたちと活動したこと。子どもたちが笑顔で、からだを動かしながら"Left and Right Song"を元気に歌っている様子は、本当に印象的だった。
W:
毎日、何時間もGenkimobile(彼らがツアー移動用に使用していたバン)を運転した後で、"What's Your Name?"を歌って踊るっていう毎日は本当にたいへんだけど、子どもが「もっと一緒にやりたい!」って笑顔で言ってくれるだけで、そんな疲れはどこかに吹き飛んじゃう。子どもたちの幸せそうな顔を見れるだけでも、「いい仕事をしたな」っていう気分になる。

逆に一番たいへんだったのは、どんなときですか?
R:
子どもたちのことを考えないで、「スケジュールが……」とか「私たちにはできません」と開口一番に言われることかな。教師は子どものことを第一に考えるべきなのに。
W:
そうだね。「私にはできない」って言う人には失望させられる。特にやってみもしない場合には。できないなんて決めつけないで、とにかく試してみてほしい。自分にもこんなにできるってわかれば、やる気も出てくるはずだし。でもね、一番たいへんだったのは、群馬の急な坂道を下っているときに車のブレーキが壊れたとき! 死ぬかと思った(笑)!

将来は武道館で、バックに「モー娘。」を従えてGenkiのショーを開きたい(笑)
(笑)。それでは最後の質問ですが、2001年の予定はどのようになっているのですか。
W:
いい質問! 2000年のツアーは、ボランティア・ベース。CDを売って、多少のガソリン代は稼いでいたけど、貯金にも限りがあるからね(笑)。
R:
まじめな話、日本の新しいカリキュラムは、大きな可能性を秘めていると思う。楽しくて興味の持てるアイディアをどんどん活用すれば、子どもたちは英語がうまくなるだけじゃなくて、「国際人」として成長する機会も得られるんだから。
W:
僕はいつも楽しみながら、中学校向けのレッスンも考えてきたんだ。そのアイディアなんかも、誰もが利用できるようにウェブサイトに載せていきたい。
R:
ほかにもいろいろなアイディアがあるよ。最近、インターネットでビデオを使い始めたんだけど、これをどう展開させるか、今考えているところなんだ。Genki Englishをインターネットテレビ局にできたらいいな、とかね。相すれば、目標別に、授業のビデオ、ゲーム、歌、先生のトレーニング用ビデオとか、全部オンラインで手に入るようになるんだよ!
W:
僕たちのショーの雰囲気はいつも活気にあふれてるから、インターネットを通じて、これを体験できる人の数が増えればいいな。
R:
100人の子どもたちの前でショーをやったら、次は1000人の前でショーをやりたくなるもの。僕の夢はね、武道館でたくさんの子どもたちを前にして、「モーニング娘。」をバックに従えて、Genki Englishショーをやることなんだ(笑)!




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