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アルクプレスのkids com雑誌の“みんないっしょにBeGenKi!"ページの記事。


第10回 行事の勉強に大切なこと

まず、敬意を払うことを教えよう

 日本には祝祭日がたくさんありますよね。「海の日」とか「成人の日」とか。祝日ではないですが「七夕」「ひな祭り」など、行事も本当にたくさんあります。ところが日本にいる外国人には、こういった行事の多くは、とても「軽い」ものに見えてしまうのです。「子どもが楽しく工作する日?」なんて勘違いしそうなときもあります(大人がお酒を飲んで酔っ払う日も?)。

 欧米の行事の多くは宗教がその起源となっています。ですから、私が授業で行事を扱うときは、まずその文化に「敬意を払う」ことを教えるようにしています。ただ単に工作をしたりするだけでは、その行事の真の意味を教えたことにはなりません。多くの人は、自国の文化をとても誇りにしているのです。何を教えるにしても、まず「敬意を払う」ことを忘れずに教えるようにしましょう。


多文化の行事にふれさせることの大切さ

 イギリスの学校の子どもたちは、ヒンズー教やイスラム教の行事、中国での新年のお祝いなどについて勉強します。なぜだと思いますか? それは実際にその行事を祝う子どもたちが学校に通っているからです。私が小学生のとき、親友に中国系やインド系の子どもがいました。初めて彼らの家に遊びに行ったときには「変だなあ」と思うことがたくさんありましたが、彼らが祝う行事について勉強したおかげで、彼らのことをしっかり理解できるようになりました。

 実はここにカギが隠されているのです。外国の行事などを勉強することは、実際に子どもたちが外国に行ったときに目にする、文化的な違いを理解する手助けになります。また、「さまざまな人が、それぞれに違った考え方を持っている」という事実を尊重できるようにもなるはずです。


いろいろな行事に目を向けよう

 世界の国々には、さまざまな文化的背景を持った人たちが交じり合って生活しているので、皆さんの学校に来るALTが、その国の文化の多面性を代表しているとは必ずしもいえません。ですから、さまざまな文化圏の人に、学校に来て子どもたちに話をしてもらえるといいですね。「外国の人=白人」ではないし、ひとつの国の中にもいろいろな考えの人がいる、ということを子どもに教えるのは大切なことです。

 たとえば10月と言えばハロウィーン、と思う人も多いでしょうが、イギリスでは、ハロウィーンはそれほど大々的には祝われません。ひとつには、ハロウィーンはアメリカの行事であるという認識があること。また、イギリスの"Guy Fawkes Day(ガイ フォークス デイ、11月5日)"が、ハロウィーンによく似ていることも、その理由かもしれません


イングランドの国旗を知っていますか?

 ALTの母国には、ほかにもそれぞれ特別な日があります。たとえば、"Canada Day(1867年7月1日のカナダ連邦成立を記念する法定休日)や"Australia Day(オーストラリア独立記念日。1月26日以降の最初の月曜日)"。アメリカには"Independence Day(独立記念日。7月4日)"、"Thanksgiving(感謝祭。アメリカでは11月の第4木曜日)"などがあります。イギリスには国民の祝日はありませんが、4月23日の"St.George's Day(イングランドの英雄、セント・ジョージに敬意を払う日)"などは、子どもに教えるにはとてもおもしろい日かもしれません。

 セント・ジョージで思いついたのですが、皆さんはイングランドの国旗がどんな模様か知っていますか? 答えは白地に赤の十字の模様です! 皆さんはきっと、赤、白、青の「連合王国(The United Kingdom)」の国旗を思い浮かべたことでしょう。しかし、それはイングランドの国旗ではありません。連合王国の国旗は、イングランドのセント・ジョージ、スコットランドのセント・アンドリュース、アイルランドのセント・パトリック、これら3つの旗を組み合わせたものなのです。今度、イングランドのサッカーの試合を見る機会があったら、ぜひどんな旗なのか注目してみてください。


「コアラの日」の思い出

 ところで祝日と言えば、私はこんな楽しみ方をしたことがあります! 「オーストラリアには『コアラの日』という祝日があるんですよ」。勤務していた学校の先生方に、私はそんな話をしました。「その日は年に一度、コアラを食べることが許されるんです」。皆さん、とても興味を持ったようでした。そしてついにコアラの日。「昨日、オーストラリア出身のALTが、コアラの肉を持って日本に帰ってきたんだ」と私は話し、白ワインとクリームソースで、彼らのためにその肉を料理してあげました。先生方は大喜び。教頭先生は「鶏肉に似てるんだね!」なんて言ったりして。

 もちろん、彼らが本当のことを知ったのはずっとずっと後のこと。実はこのコアラの日は4月1日で……。

Be genki,

Richard










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