アルクプレスのkids com雑誌の“みんないっしょにBeGenKi!"ページの記事。
第3回「ALT(外国語指導助手)と相談して、より楽しい授業を」
使える表現をALTに教えてもらおう!
日本全国を回りながら、私たちは「国際理解」のさまざまな興味深い授業を見ることができました。なかでも最も驚いたのは、せっかくALTが学校にいるのに、授業が依然として日本人の視点で考えられていることが多かったことです。
授業で扱う英語にしてもそうです。ALTが学校にいるのなら、彼らにどんな英語をよく使うか聞いてみるといいのでは? 日本人は、日本語で考えたことを直訳したり、中学校のテキストに出ていたりした表現をそのまま使ったりします。そうすると、とても不自然な英語になってしまいます。
たとえば、"What
time is it now?"と言ってしまったり(今の時間を聞いているのだから、実際にはわざわざ"now"をくっつけたりしません)、"See you
again."と言ってしまったり("See you."や"See you
later."のほうがより自然に聞こえます)。
そして最もまずい例が、"How are you?"の答えとして言う"Fine thank
you. And
you?"です。この質問に対する応えは何通りもあります。誰に聞いても、みんな同じ応えを言うのは、とても奇妙ですし、よそよそしい感じがします。たまには、"I'm
OK." "Not too
bad."と応えてみたり、どうしても思いつかなければ、ALTにどんな言い方ができるのか聞いてみるといいですね。
"Bless
you."のような日本語にはない表現を教えよう
例をもうひとつ挙げてみます。それは、日本語にはあるけれども英語にはない表現を無理に翻訳しようとすること。たとえば、「『いただきます』って英語では何と言うのですか」と学校で質問されることがよくありますが、そのような英語は存在しません。宗教などによっては、食事の前にお祈りをすることもありますが、何も言わない人の方が多いのです。言おうと思えば、"Let's
eat."と言うこともできるでしょうが、食事のたびにみんなで一斉にそんなことを言ったとしたら、やはりおかしいですよね。
日本語を無理に英語にするのではなく、日本語にはない表現を教える方が楽しいですよ。たとえば、"Bless
you."と言う表現を知っていますか? 誰かがくしゃみをしたときに言ってあげる表現です。もし子どもたちが、英語を話す人にタイミングよく"Bless
you."と言うことができたら、その人はビックリすると思いますよ。
ALTの出身国の祭りや行事について話してもらおう
どんな文化について扱うかについても、ALTが相談に乗れることです。日本人の先生がALTに、「今日はThanksgivingについて教えてくれませんか」などと頼んだりすることがありますが、そのALTがイギリスやオーストラリア出身だったら、「感謝祭」のことはよく知らないかもしれません(Thanksgivingは北米の祭りだからです!)。
文化に関する話題を選ぶときには、ALTに出身国の祭りや行事のことについて話してもらうといいですよ。たとえば、日本では「花火」は夏の風物詩と考えられていますが、イギリス最大の花火大会は11月5日、Guy
Falkes
Dayという日に開かれます。
大人の「間違った」考えを子どもに押しつけないで!
幸運にも皆さんの学校に海外からのゲストが来たときに、子どもたちに何か質問させたいと思ったら、ぜひぜひ、質問内容は子どもたち自身に決めさせてください。よく先生が「この質問をしてみたら」などと子どもに指示したりすることがありますが、大人の考えは結構古かったりして、間違ったステレオタイプな考えを子どもに与えてしまいかねません。
たとえば以前、「外国の人ははしを使えないと聞いたことがありますが、リチャードさんははしを使えますか?」と、子どもに質問されたことがあります。答えはもちろん「使えます!」。今では、中華料理も日本料理も当たり前になっているので、欧米の多くの人ははしを普通に使うことができます。このような質問は、子どもたち自身が考えたことではなく、大人たちが思っている「勘違い」のひとつです。私自身、もうイヤというほど聞かれた質問です。
子どもたちが思いつく質問は、もっとおもしろいものばかり。子どもは自分が興味を持ったことしか質問しませんから。たとえば私がよく質問されるのは、英語の「ジャンケン」のこと(イギリスではジャンケンよりも「コイントス(coin
toss)」をする方が多いですね)。食べ物に関する質問も子どもたちは大好きです。子どもたちはまだ「まっさらな」状態なので、いろんなことに関心を持っていて、とてもいい質問をしますよ!
「国際理解」のような新しいタイプの教育には、いろいろなものごとにオープンに接しなくてはいけません。ALTや子どもたちの考えにも真剣に耳を傾けながら授業をすれば、皆さん自身、子どもたちと同じくらい新しいことを知ることができるはずです。
Be
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