アルクプレスのkids com雑誌の“みんないっしょにBeGenKi!"ページの記事。
第4回「国際理解」って難しい?
英語はコミュニケーションの手段のひとつに過ぎない
日本全国で、たくさんのALT(外国語指導助手)や日本人の先生が、子どもたちに「英語」を教えています。しかし、実際に何を教えたらいいのかについての議論は尽きることがありません。指導要領には、英語などの外国語は「国際理解の一環として行う」とあります。
私の考える「国際理解」は、さまざまな文化や人について子どもたちに教え、自分たちがどんなに素晴らしい星に住んでいるか気づかせること。本当の価値は、英語という言語そのものではなく「国際理解」にのほうにあるのです。
「国際理解」の方法としては、異なった文化背景を持った人と直接コミュニケーションをすることが考えられます。外国の学校の子どもたちとEメールや手紙のやりとりをしたり、学校の様子を撮影したビデオを交換したり。学校に来るALTと一緒にサッカーをして楽しむだけでも、「直接」のコミュニケーションができるはずです。
しかしこういったことをするためには、子どもたちはコミュニケーションのための基本的スキルを身につける必要があります。まずはボディ・ランゲージを教えたり、人の表情を読み取る術を教えたり、そんなところから始めるとよいのでは? そして、一番大切なのは「笑顔の力」だということも、子どもたちに伝えてください。
もちろん私たちがコミュニケーションをするには、言葉は欠かせません。ここでやっと英語の出番となるわけです。そう考えると、「国際理解」において、英語はコミュニケーションの技術のひとつを担うに過ぎないともいえるのです。
英語を教えるなら、その文化背景も教えなくては
ですから、英語を教えるだけでは十分ではありません。なぜなら、その背景にある文化を無視して英語だけを教えることは不可能ですし、子どもたち自身、なぜ英語を身につける必要があるのか、その理由を理解している必要もあるからです。
日本にいて私がおもしろいなと感じることは、英語が「世界共通語」として受け入れられていることです。しかしヨーロッパの人々は、そのようには考えていません。たとえば自国語に誇りを持つフランスの人に「英語は世界共通語」などと口にしたら、友人をなくしてしまうかもしれません。
しかし残念ながら、世界中のあらゆる言語を授業で教えることは不可能です。英語ではなくて中国語を教えたらいいという議論もあるかもしれません。しかし、国際的なコミュニケーションを必要とされる場において、英語が「優勢な」言語であるということは間違いのない事実。英語が話せると話せないでは、子どもの将来も大きく変わってしまうかもしれないのです。
外国の行事について教えるなら日本語で構わない
そこで考えなければいけないことは、「英語」の要素と「国際理解」の要素をどのようにして結び付ければよいかということです。「結び付ける必要はない」という答えも考えられるでしょう。「なぜ、ハロウィーンのような行事をわざわざ英語で?」と考える人だっているはずです。私は、このふたつを結び付ける必要はないと考えています。ハロウィーンのような行事を教えることのねらいは異文化に親しませることなのですから、日本語でハロウィーンを教えても効果はあるはずです。
もし、英語の授業が毎日あるというのであれば、英語で教えたほうがいいでしょう。しかし現実はそうではないのですから、日本語を使ったほうが、子どもたちを新しい文化に「より効果的に」ふれさせることができるはずです。行事に関連したゲームやアクティビティを行うというのであれば、その興味深く楽しい雰囲気を伝えられるようなものを行うようにするといいでしょう。
「ひと口サイズ」の文化は現代っ子に最適
しかし、世界中を探しても、ハロウィーンのような大規模なお祭りや行事はそんなに多くは見つかりません。それに子どもたちだって、45分間まるまる同じアクティビティをやっていたって退屈してしまうはず。そこで注目したいのが、もっと「小さな文化」を教えることです。
写真を使うのはいいアイディアのひとつです。私の場合、「sky」を表すものとして、私がパラグライダーに挑戦したときの写真を使っています。「sea」は、タイでダイビングをしたときの写真。子どもたちはこうした現実味のあるものが大好きです。「いろんな魚が写っているね」とか「ビルの形が日本のとは違うよ」など、子どもたちはいろいろな発見をして楽しんでくれます。子どもたちにそんな写真を見せるだけでも、彼らは日本と違った文化をすぐに見つけることができるのです。
しかし何よりも大切なのは、見せた写真について子どもたちが考えたり質問したりすることです。たとえば私が使っている「elephant」のカードは、私がゾウに乗っている写真。ゾウのヨコには小学生がひとり写っています。「この子は学校に行ってないんだよ」と私が教えると、子どもたち「いいなあ!」と口をそろえて言います。しかし、「でもね、この子は生活のために、ゾウの世話をしたりして働かなくちゃいけないんだ。だから学校にいけないんだよ」と教えると、こどもたちはもう「いいなあ」とは言わなくなります。
こんな「ひと口サイズ」の文化は、テレビゲーム世代の子どもたちには最適といえるでしょう。では次回は、授業で子どもたちがもっと活発になるおもしろいテクニックを紹介しましょう。
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