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アルクプレスのkids com雑誌の“みんないっしょにBeGenKi!"ページの記事。


第5回「ひと口サイズの文化」を英語で!

「あいさつ」で文化的な違いにふれよう!

  前回は、「英語」と「国際理解」の関係について、そして「ひと口サイズ」の文化を英語で教えよう、ということについて書きました。たとえば、「交通手段」「食べ物」または「あいさつ」などのトピックを最初に決めてから教えたい表現を選んでいくようにすると、この「ひと口サイズ」にぴったりの内容ができあがります。

 たとえば「あいさつ("How are you?")」を教えるときは、まず質問の答えをいろいろと準備して置きます。私の場合は、だいたい8種類の答えを用意します(これでちょうど1時間の授業分になります)。"I'm OK."や"I'm hungry." "I'm tired."などの答えを表した絵カードもあるといいですね。

 このような基本的な英語だけでも、「ひと口サイズ」の文化を教えることができます。"How are you?"というあいさつには決まった答えがなくて、自分のそのときの気分で答えればいいということです。子どもに自由に答えを言わせて、その絵カードを黒板に貼らせたりしましょう。おっと! イギリスでは「黒板*」は差別用語。使ってはいけないんです!

≪注釈≫
※イギリスでは、blackboardではなくchalkboardやboardを使います。単にblackという言葉を使うだけでも人種差別的と感じる人もいるので、使わないほうがいいかもしれません。イギリスでは「過敏すぎる」と感じることもありましたが、日本に来て「外国人」という言葉が無意識に使われているのを耳にして、初めて当事者の気持ちが理解できました。



"I'm hungry."から食習慣の違いへ

 さて、"I'm hungry."のカードには、子どもの目を引きそうな、いろいろな国のおもしろい食べ物を描いておきましょう。子どもは絶対に「それ何?」と聞いてきます。フランス料理で使うカエルの足(イギリス人はカエルを食べないですからね!)、タイのサメを使ったカレーなども話が弾みます。もちろん、イチゴのような普通の食べ物でも「ひと口サイズ」の文化を教えることができます。イギリスでは、テニスのウィンブルドンとイチゴは夏の始まりの象徴です。日本では、クリスマスケーキにイチゴが乗っていたりしますが、あれには本当にびっくりです。

 子どもたちが「へえ、そうなんだ」とか「もっと知りたい!」と思ったなら、その次の授業はテーマを「世界の食べ物」にしてもいいですよね。知らない食べ物だって、みんなで協力して調べればきっと楽しいはずです。

 "I'm tired."の絵カードには、"zzz zzz zzz"と寝ている子どもや動物を描きましょう。「日本の『ぐうぐう』とは音が違うね!」と、文化的な違いにふれることができます。

チェックはマルで、マルはバツ?

 次に紹介するのは私の一番のお気に入り! まず、授業の途中で「英語の勉強はもう終わり。次は算数の勉強をしよう!」と言って、黒板に算数の式を書きます。

1+4=7

 子どもたちはみんな、"No!"と言うでしょう。そこで先生は悲しい顔をして、答えの横に×を書きます。もう一度、3+8=9のような間違った式を書くと、子どもたちはまた“No!”と声を張り上げます。

最後に2+5=7。子どもたちは"Yes!"と言ってくれますから、ここで欧米の人がしているように、答えの横にチェックを書きます。

2+5=7

 子どもたちは、それを見てみんな「ええええっ!」と言うでしょう。そこで、子どもたちに説明をしてあげます。「イギリスなどではね、チェックの印は『正解!』とか『よくできました!』っていう意味なんだよ。マルが付いているときはね、その中の部分が『間違い』っていうことなんだ」。

こんな単純なことでも、知っておくととても役に立つときだってあるのです。これは私の経験ですが、中学生を教えていたとき、生徒のひとりがテストで満点に近い成績でした。私はうれしくなって、赤ペンでチェックをたくさん書いて返してあげたのですが、その生徒は、×がたくさんあると勘違いして泣いてしまいました。実は、私もこの違いを知って、文化をひとつ学んだのです。

 最後にもうひとつ。授業で"Where are you going?"を教えたとき、私は「ショッピングセンターのカードを使いました。その場にいた子どもたちは、私が持ってきたイギリスのショッピング・センターの写真を見て、あ然としていました。イギリスのショッピング・センターには20の映画館に、280のショップ、そして何百台もの車を収容する駐車場があるからです。イギリス人は(日本人も?)買い物が大好きなんですよ!

いつも「じゃんけん」じゃなくて、
たまには「コイントス」!


 英語の練習としてゲームを行うとき、「偶然性」は欠かせない要素のひとつ。能力に関係なく、誰でも勝者になるチャンスがあるということは、動機づけの面でも重要です。

 誰でも勝つ可能性があるといえば、日本では何といっても「じゃんけん」。しかし、じゃんけんはひとつ問題があります。外国では、日本のように誰もじゃんけんを知っているというわけではないので、ほかの国の学校の先生はじゃんけんを扱えないかもしれないからです。もちろん、欧米でもじゃんけんを知っている人はいますが、日本ほどではありません。そこで私は、イギリスなどの子どもがよく知っている「コイントス」を、日本の子どもたちにもやってもらいます。子どもたちが私にじゃんけんをしようと言ってきたときには、私はポケットにいつも忍ばせてある2ポンド硬貨を、さっと取り出したりします。

 ここまで紹介してきた内容は、英語活動という枠組みの中に、ちょっとした文化を取り込むひとつの方法です。英語だけではなく、「国際理解」の要素を教えていくことこそが大切なこと。また、その内容も短時間で楽しいものにすることができれば、子どもたちは「もっと知りたい!」と思うようになって、積極的にいろいろな質問をしてくれるようになるはずです。

Be genki,

Richard








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